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ユニオンショップ協定や「名ばかり労働組合(御用組合)」で困っている仲間へ


ユニオンショップ協定に不満の声が増えている

  ユニオンショップ協定によって被害を受ける労働者からの苦情が増えています。
  ユニオンショップ協定のために、会社に従属して労働者の利益を守れない「労働組合」に縛り付けられて、組合を脱退できない労働者、組合員からの不満の声です。
  またユニオンショップ組合ではなくとも、会社の言いなりで働く者の利益を考えない労働組合(「名ばかり労働組合」とか「御用組合」と言います)で、被害を受ける労働者からの苦情や怒りの声も増えています。

諦めないで
  ユニオンショップ協定だとか、御用組合だからとかの理由で、どうしようもないと諦めないでください。
  やり方、闘い方はいろいろあります。自分なりの闘い方を見つけてください。

ユニオンショップ協定とは

  ユニオンショップ協定とは、会社が労働者を雇用する場合、採用された労働者は必ず労働組合に加入しなければならず、もし、組合に加入しなかったり、組合を脱退又は除名された者については、会社はその労働者を解雇しなければならない、とする協定・制度のことです。

ユニオン・ショップ協定による解雇は無効

  ユニオン・ショップ協定がある場合には,労働組合からの脱退者や除名者を会社が解雇することは,一般的に有効と考えられています。
  しかし、企業内に複数の労働組合が存在し、別組合に加盟した場合,または新たに企業内に労働組合を設立した場合、ないしは社外の労働組合に加入した場合、多数組合が締結したユニオンショップ協定の効力は,判例においては,「労働者には,自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由」があるから,「ユニオン・ショップ協定のうち,締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが,他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は,右の観点からして,民法90条の規定により,これを無効と解すべきである」としています(三井倉庫港運ショップ制解雇事件・最高裁判決 平元.12.14)。
  このためユニオンショップ協定を結んでも, 他組合の組合員を解雇することはできません。


ユニオンショップ協定や名ばかり労働組合、会社の御用組合で困っている労働者はご相談を!

  ユニオンショップ協定の労働組合でも、手続きさえきちんと行えば、解雇されることなく組合の脱退は可能です。
  全国一般東京東部労組とジャパンユニオンには、会社から解雇されることなく、ユニオンショップ協定の労働組合や御用組合を脱退した組合員がたくさんいます。
  ひとりで悩まず、東部労組やジャパンユニオンにメールか電話で、まずご相談ください。

 詳しくは次の解説文をお読みください。


ユニオン・ショップと労働組合

目  次


はじめに

1.「ユニオン・ショップ」とは


2.ユニオン・ショップ協定による解雇は有効か

【Q&A1】NPO法人労働相談センター
【Q&A2】福島県労働委員会(ユニオン・ショップ協定による解雇)
【Q&A3】労働政策研究支援情報
【Q&A4】福島県労働委員会(ユニオン・ショップ制のパートへの適用)

3.日本のユニオン・ショップの現状

4.ユニオン・ショップ協定労働組合の問題点


5.地域ユニオン・合同労組に加入して、ユニオン・ショップの縛りを脱し労働者の利益を守ろう


6.解雇されないでユニオン・ショップ労働組合から脱退する方法

7.ユニオン・ショップ協定についての見解・注意点
(1)西谷敏氏
(2)弁護士 岩出 誠氏
(3)アモーレと労働法 大内伸哉氏
(4)本多淳亮氏


8.朝日新聞(2010年3月1日)働く人の法律相談「ユニオン・ショップ協定 組合脱退で解雇は有効?」

 


..はじめに

NPO法人労働相談センターにはユニオン・ショップについての相談が多く寄せられています。
次のような事例です。

(1)
ホームページを見たところ、労働相談を受け付けてくれているようなので相談をさせて頂きたく、メールを書きました。

私の勤務している会社の労働組合は、会社側のいいなりで労組員を簡単に切り捨てようとします。

この会社では近年、大規模なリストラを何度も行いました。表向きは面談を行った上で公平に、とか強制はしない、とか言っているものの、実際は半強制的に社外への出向や、法に触れるような社外応援を行っています。その人選についても、管理職や人事が気に入らない人間を選んでいます。

ある日突然「あなたにさせる仕事は無い」と言い渡されました。仕事をさせるには著しく能力に欠けるのだそうです。
何十年も勤めてきて、ある日突然、仕事が出来ない程無能になったそうです。しかも昨日までやっていた仕事が、です。

当然、納得のいかない私は退職を受け入れなかった為、民間の再就職センターに能力開発の研修という名目(実際は研修は一切せず)で、何か月間も再就職先探しをさせられたり、本社の一室で一日中意味の無い感想文などを書かされたり、適正や経験、能力などを一切無視した業務につかされました。 今は、子会社に無期限の出向をさせられて社内の廃棄物処理をさせられています。

嫌なら辞めろ、という事です。
その間、私はパソコンスクールに通い、いくつもの資格も取得しましたがそれすらも一切無視されています。
しかし社員として成果のあがらない業務をやっていても、最低の評価しかされません。 そしてそれ(成績不良)を理由に再度、退職を迫られるのも時間の問題です。

この状態を労働組合に訴えたのですが、返ってきた答えは「どんな仕事も重要で大事」とか「辞めさせようとはしていない」「仕方が無い」「辞めるのなら協力してあげられるけど」「辞めるつもりはないの?」といったものでした。
こんな御用組合に加入し続け毎月高額の組合費を払わなければならない事が、とても馬鹿馬鹿しくなりました。
しかしこの会社では社員は全員、労組に加入しなければならないユニオンショップ制を採っています。

そこで外部のユニオンに加入して自社の労組を脱退したいと申し出たら、自社の労組は脱退できないと言われました。脱退したら会社をクビになるよ、と。

何かおかしいと思いました。
労組に加入しなければならないのは、社員の権利や立場を守る為の筈で、それなら自社の労組である必要は無いのではないのでしょうか?
それともこのまま会社側の代弁者同様の労組に加入し続けなければならないのでしょうか? もちろん外部のユニオンに加入出来たからと言って、現状が劇的に変えられるとは思ってはいません。でも今のままでは本当に何一つ変わりません。悪くなるだけです。 自社の労組を脱退したい、という私の考えは非常識で甘いのでしょうか?
長文ですみません。また氏名を伏せる失礼をお許し下さい。
以上

(2)
私の勤めている会社の社員は、労働組合に対し反発的な意見を言える人も場もありません。
ユニオンショップという制度がある為、また、労働組合の委員長や書記長などが勝手になんでも決める為、それに従うしかないみたいです。

活動内容に賛同できないので脱退を希望しています。

自社の労働組合は社内で唯一の労働組合で、加入者比率は、労働組合に加入資格のある、非管理職正社員のほぼ全員が加入しているほど高いため、ユニオンショップ協定に該当し、
会社を解雇されることになるのではないかと懸念しております。

(3)
突然のメールで失礼致します。

「労働相談センター・スタッフ日記 「御用組合」「ユニオンショップ」で苦しんでいる全国のみなさんへ 2007年09月07日 09時36分01秒 | 労働相談」を拝見しました。

私も非常に似た境遇に置かれており、問題を解決すべく、弁護士に相談するか、個人加入の労働組合に加入するか等、色々と検討をしています。
そんな中、この記事を拝見し、大変興味を持っております。

相談は様々で、個別に対応するほかなく、一概にユニオン・ショップ労働組合からの脱退が唯一の解決策とは限らず、もっと組合内で活動する余地があると思える相談も多いのは確かである。

しかし同時に、ユニオン・ショップ協定の労働組合に所属する組合員が解雇されるかもしれないという組織強制によって、無理矢理組合に縛り付けられている多くの労働者がいるのも現実である。

「ユニオン・ショップ」について考えてみたい。

 

.1.「ユニオン・ショップ」とは

ユニオン・ショップ(union shop)は、使用者が労働者を雇用する時は、労働組合員であってもそうでなくても構わないが、雇用された労働者は一定期間内に労働組合員にならなければならないとする制度で、一定期間内に労働組合員にならなかったり、労働組合から脱退もしくは除名によって組合員である資格を失ったとされた者の解雇を使用者に義務づけるものである。

通常はその工場事業場に雇用される労働者の過半数が組織する労働組合との労働協約で定められる。使用者と労働組合との協定をユニオン・ショップ協定(「ユ・シ協定」と略すこともある)と呼ぶ。

したがって、ユニオンショップ制は、従業員が労働組合に加入したくない場合も従業員に労働組合に加入することを事実上強制することになる。

雇い入れ時には組合員資格を問わないという点で、組合員のみの採用を義務付ける「クローズド・ショップ」とは異なるが、脱退者・被除名者の解雇を使用者に義務づける点では、両者は共通している。これに対し、労働組合の加入を労働者の自由意思に任せるのが「オープン・ショップ」である。

ユニオンショップ制には、組合不加入・除名・脱退の場合は必ず解雇すると定めるもの(完全ユニオン)や、使用者が解雇しない余地を残すもの(不完全ユニオン、尻抜けユニオン)や、解雇について全く規定しないもの(宣言ユニオン)がある。

しかし「完全ユニオン」でないからといって、解雇されないというわけではなく、結局は使用者の意向で解雇するかどうかもすべて決まる点では変わりがない。

2..ユニオン・ショップ協定による解雇は有効か

ユニオン・ショップについての相談で一番多いのは、会社とユニオン・ショップ協定のある労働組合において、組合に加入しない、または除名された、脱退した場合は解雇されるのか、ということである。

結論から言うと、対象の組合員が別の労働組合に加入するか、結成するかした場合は解雇できないということである。逆の言い方をすると、別組合加入など対策を何もせず放置した場合は解雇される可能性が強いということである。

一つだけ判例をあげておこう。
有名な三井倉庫港運事件判決(最高裁平成元年12月14日判決)は、会社と労働組合がユニオンショップ協定を結んでいたにもかかわらず、労働組合を脱退し、その直後他の労働組合に加入した従業員を、その後会社がユニオンショップ協定にもとづいて解雇した事案について、以下のように述べている。

「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。そうすると、使用者が、ユニオン・ショップ協定に基づき、このような労働者に対してした解雇は、同協定に基づく解雇義務が生じていないのにされたものであるから、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することはできず、他の解雇の合理性を裏付ける特段の事由がない限り、解雇権の濫用として無効であるといわざるを得ない。」

つまり「ユニオン・ショップ協定による解雇は有効か」についての法律上および社会的な決着はすでに20年以上前についているのである。

そのためユニオン・ショップ協定労働組合から脱退して、ジャパンユニオン、東部労組、その他のユニオンに加入したからといって、その労働者を解雇するという事件は一件も起こっていないのである。

次に信頼できるユニオン・ショップについてのQ&Aを念のためいくつか列挙しておこう。

..【Q&A1】NPO法人労働相談センター
<質問>
私立高校教員の家族ですが、学校は組合と以前結んだ労使協定書のなか で、専任教諭は組合員とならなければならない、そして、学校法人は組合に加入しないもの、組合から脱退したもの、または除名されたものは解雇する、とあります。

この協定は、憲法に抵触すると同時に、何か釈然としない感じがしています。

組合は、この協定で組合員の確保がしたいと思うのですが、この協定は本当に有効なのでしょうか?
組合を脱退すれば、本当に解雇されるのでしょうか?
それは、法的にも受け入れなければならないのでしょうか?

<回答>
メール拝見しました。以下参考にして下さい。
一般に、ユニオン・ショップ協定は憲法28条の積極的団結権に基づいてその効力が肯定されていました。すなわち、労働者の団結しないという消極的団結権は、積極的団結権擁護のためには否定されてもやむを得ないというものです。組合を脱退した場合、解雇される可能性もあります。

ただし、最高裁は「他の組合に加入している者、又は新たな組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は・・・民法90条の規定により、無効」としています。

したがって、あなたが今の組合から脱退して地域の1人でも入れるユニオン等に加入した場合やあらたに別組合を結成した場合は、ユニオン・ショップの規定は意味をなさなくなります。この場合はあなたは解雇されません。

 

..【Q&A2】福島県労働委員会(ユニオン・ショップ協定による解雇)

<労働者からの質問>
当社には、従業員の全員が加入しているA労働組合があります。  このたび私をはじめとする5名の者は、A労働組合の方針に不満を感じ、A労働組合を脱退して、新たにB労働組合を結成しました。
  ところが、後日、会社からは、「当社とA労働組合とはユニオン・ショップ協定を結んでおり、あなた達5名はA労働組合を脱退したので解雇する」と解雇通告されました。
このような会社の言い分は正当なものなのでしょうか。

<答え>
ユニオン・ショップ協定(以下「ユ・シ協定」という。)を締結しているA労働組合の団結権も、今回新たに結成されたB労働組合の団結権も憲法上等しく尊重されるべきものですから、A労働組合を脱退してB労働組合を結成したあなた方5名に対しては、A労働組合と会社との間のユ・シ協定の効力は及びません。
したがって、今回の会社の言い分は認められず、解雇は無効であると言えます。

<解説>
1、ユ・シ協定の意義
ユ・シ協定は、労働者に対して採用された以上は特定の労働組合に加入すべきこととし、加入しない場合や加入後脱退したり除名されたりした場合には、使用者がその労働者を解雇する義務を負うことを定めた労働組合と使用者との間の協定です。
2、ユ・シ協定の効力の及ぶ範囲
(1)ユ・シ協定を締結している労働組合に加入せず、他の労働組合も選択していない労働者については、当然にユ・シ協定の効力が及びます。
(2)ユ・シ協定を締結している労働組合からの脱退者や被除名者が、他の労働組合を結成したり、既存の他の労働組合に加入したりした場合には、労働者の組合選択の自由や他の労働組合の団結権を侵害することは許されないことから、これらの者にはユ・シ協定の効力は及ばないとされています。 これは憲法上、労働者には労働組合を選択する自由が保障されており、また、ユ・シ協定を締結している労働組合の団結権も、他の労働組合の団結権も同等に保障されているという考え方によるものです。
(3)ユ・シ協定締結当時、既に別の労働組合に加入していた労働者に対しても、(2)と同様の考え方からユ・シ協定の効力は及びません。
3、ユ・シ協定を締結できる労働組合
労働組合法第7条第1項ただし書きは、「特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する」労働組合についてのみ、ユ・シ協定の締結を認めています。
この要件を具備していない労働組合が締結したユ・シ協定は無効とされています。
また、協定締結後に、その労働組合の組合員数が全労働者の過半数に満たなくなった場合には、効力を失うとされています(労働省労政局労働法規課編著『四訂新版労働組合法労働関係調整法』労務行政研究所1999年398~399頁)。
4、組合除名が不当な場合のユ・シ協定に基づく解雇
労働組合が組合員に対しておこなった除名処分が、合理的な理由がなかったり、手続違反があったりして無効と判断される場合に、ユ・シ協定に基づく解雇(以下「ユ・シ解雇」という。)が有効か無効かについては、学説の見解はわかれています。
  ただし、多数説は「無効」とする立場をとっており、最高裁も、除名が無効な場合には、使用者に解雇義務が生じないので、このようなユ・シ解雇は、客観的に合理的理由を欠き、解雇権の濫用として無効となると判断しています。

<参考判例>
○ 三井倉庫港運事件(最高裁第一小法廷判決平成元.12.14労判552号6頁)
○ 日本鋼管鶴見製作所事件(最高裁第一小法廷判決平成元.12.21労判553号6頁)
○ 日本食塩製造事件(最高裁第二小法廷判決昭和50.4.25民集29巻4号456頁)

..【Q&A3】労働政策研究支援情報

ユニオン・ショップ制がある場合には、組合を除名されたり脱退した組合員を必ず解雇しなければなりませんか?

質問
「A社とB労組とはユニオン・ショップ協定を締結していました。ところが、B労組内でA社の再建問題への組合としての対応をめぐる内紛が起こり、Cらは、B組合を脱退したり、一部は除名されました。そこでB組合はA社に対してユニオン・ショップ協定に基づきCらの解雇を求めてきました。しかし、Cらは、B組合を脱退等した直後にC組合を立上げ、A社に団交を求めてきました。A社はどのように対応すべきでしょうか。」

回答
ポイント
現在の判例・通説によれば、A社は、Cらを解雇することはできず、C組合の団交に応じざるを得ません

..【Q&A4】福島県労働委員会(ユニオン・ショップ制のパートへの適用)
使用者からの質問
質問
当労働組合は、会社とユニオン・ショップ協定を締結していますが、協定の適用範囲については、正社員に限定しています。
現在、組合の組織拡大のために、これまで正社員に限定してきた組合員資格を、パートタイマーにも拡大することを考えていますが、組合規約を改定してパートタイマーにも組合員資格を与えた場合、ユニオン・ショップ協定の効力はパートタイマーにも及ぶと考えて良いでしょうか。

答え
ユニオン・ショップ協定(以下「ユ・シ協定」という。)は労働組合と使用者との間の労働協約であり、その中で適用範囲を限定している場合には、限定どおりの適用範囲となり、後に範囲外の者が組合に加入したとしても、ユ・シ協定の適用を受けることにはなりません。
したがって、貴組合においては、現在のユ・シ協定のままでは、パートタイマーがその適用範囲に含まれていませんので、パートタイマーに組合員資格を与えるだけでは、ユ・シ協定の効力が当然にパートタイマーにも及ぶとは言えません。パートタイマーに対してもユ・シ協定を適用するためには、組合規約の改定と併せてユ・シ協定の適用範囲についてもパートタイマーを含めた内容に改定することが必要です。

解説
1、組合規約上の組合員資格と労働協約上の組合員の範囲
労働組合は、主体的・自主的な団体として、その構成員の範囲について自ら自由に決めることができます。したがって、パートタイマーを組合員にするかどうかは、労働組合が自らの判断で決めれば良いことですので、使用者の了解や同意を得る必要はありません。
これに対して、労働協約上の組合員の範囲は、当該労働協約をそれら以外の者には適用しない旨労使が合意し確認したものと解されますので(労働省労政局労働法規課編著『四訂新版労働組合法労働関係調整法』労務行政研究所1999年576~577頁)、パートタイマーにも適用させるには、改めて労使間で合意確認することが必要となります。
2、ユニオン・ショップ制度
  労働組合と使用者とが締結した労働協約において、労働組合に加入しない者や労働組合から除名された者、脱退した者を使用者が解雇する義務を負う制度です。
  労働協約としてのユ・シ協定は、労働組合法第14条に「労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる」と定められているように、その成立には労使間の合意が必要となっており、その適用範囲などの内容を変更する場合にも当然労使双方の合意が必要です。
3、パートタイマーに適用する場合の留意点
  パートタイマーにもユ・シ協定を適用するかどうかは、労働組合と使用者との間での重要な問題であるばかりでなく、その適用を受けるパートタイマーのかたにとっては、自身の雇用上の身分にかかわる非常に大きな問題です。
  したがって、将来的に労使間や組合内部での紛争に発展することのないように、パートタイマーの理解を得るべく労働組合の意義や役割を十分説明するとともに、労使及びパートタイマーとの三者間で事前に良く話し合って決めることが望ましいでしょう。

参考判例
○ 富士火災海上保険事件(福岡簡裁判決昭和43.11.7労働経済判例速報669号21頁)

3..日本のユニオン・ショップの現状


労働大臣官房政策調査部編「平成9年(1997年)版日本の労働組合の現状」によると、ユニオンショップ制をとる労働組合は全体の62.1%になっている。

また厚生労働省が発表した「平成17年(2005年)労働組合活動実態調査結果の概況」によると、民営事業所における労働組合員数規模100人以上の単位労働組合の76.0%がユニオン・ショップ協定の労働組合となっている。ということは、ユニオン・ショップ協定を結ぶ労働組合の組合員数はほぼ492万人(648万人×0.76)に達することになる。

つまり現在の日本のすべての労働組合の組合員総数(ほぼ1000万人)の約半数という膨大な数の労働者がユニオン・ショップ協定の下で存在しているわけで、日本の労働組合運動を考えるにあたって、「ユニオン・ショップ」問題は避けて通ることのできない問題であることは間違いない。

.4.ユニオン・ショップ協定労働組合の問題点

ユニオンショップ協定を結んでいる労働組合には問題が多いのは確かである。

寄せられる労働相談では、ユニオン・ショップ協定労働組合は会社と癒着している、会社と一体だ、組合は相談に乗ってくれない、また組合に相談したら全部情報が会社に筒抜けになるので相談できない(すかいらーく過労死被害者の中島富雄さんもこのように話していた)、高い組合費が何に使われているか分からない、会社の利益だけを考えて行動している、第二人事部だ、御用組合(注)、「名ばかり労働組合」などごうごうたる非難の嵐が続いている。

(注)御用組合(ごようくみあい、英: yellow union)
・雇傭者(使用者)側が実権を握っている労働組合(Wikipedia)
・ 使用者の意向に従って行動し,またはその意向を受けた者が中心となって組織し,あるいは使用者側の財政的援助の下に作られている労働組合の俗称。(百科事典マイペディア)
・使用者から経済的援助を受けたり、使用者の意向に従って動いたりする自主性のない労働組合。会社組合。(デジタル大辞泉)

 

ユニオン・ショップ協定の労働組合がすべて労働者の利益を守らないわけではない。中には、労働者の利益を守る立派な労働組合もあることはよく知っているし、私たちも一緒につきあって、ともに闘っている親しい労組も多い。

だからユニオン・ショップ協定の労働組合をすべて御用組合として否定するものでは当然ないが、ユニオン・ショップ協定労働組合に「名ばかり労働組合」、御用組合が多いのも事実である。

多くの労働組合の幹部と会社はユニオン・ショップ協定の制度を利用して、企業内組合を御用組合、「名ばかり労働組合」にしてきた。

そのため次のような声が出てくるのである。

ユニオンショップ協定がある会社・法人に就労すると同時に、その労働者は「ユ・シ協定」を締結している労働組合に入りますが、それが形だけは「労働組合」でも、実質は経営者側の利害に立つ「第二人事部」のようなものであったばあい、労働者が会社と利害の対立する要求が出せなくなってしまうのです。ユニオンショップの労働組合が、次々と会社との間で、会社に有利な「労使協定」を結んでしまっても、この労使協約が労働者の合意を得たものとなり、労働者が本当に求める要求は消えてしまいます。しかも、この労働組合を辞めると会社を解雇になります。組合費が非常に高額な場合もありますが、組合費は天引きなので、必ず取られてしまいます。(ブログ「オレンジの樹」)

また労働組合全体が御用組合化の傾向が強まり「名ばかり労働組合」批判がわき出る中で、連合の高木剛元会長は08春闘討論集会で、「時間外労働の拒否や労働委員会の活用など、団体行動の権利を視野に闘いを構築する必要がある。私たちは『名ばかり労働組合』ではない。名実を備えた労働組合だということを認識してもらえるよう闘っていくべきだ」と述べたという。(連合通信2008.11.01)

さらには、パートの組織拡大の最大要因はユニオンショップ協定の変更にともなう組合員枠の拡大であり、したがって本人同意無しに組合員化されている、と言われている。確かに、「組合費が勝手に給料から引かれていた」との労働相談も寄せられている、との声もある。

.5.地域ユニオン・合同労組に加入して、ユニオン・ショップの縛りを脱し労働者の利益を守ろう

ユニオン・ショップ協定とその「名ばかり労働組合」、御用組合に不満を持つ組合員が、NPO法人労働相談センター、東部労組、ジャパンユニオンに相談を寄せている。

相談にあたって痛感するのは、ユニオン・ショップ協定による組織強制、つまりその労働組合を脱退したら必ず解雇される、そのため脱退したくても脱退できないと思い込んで恐怖におののいている労働者がいかに多いかということである。

それらの労働者には、ここに掲載した文章をぜひよく読んでいただきたい。
地域ユニオン・合同労組など別組合に加入すれば、ユニオン・ショップ協定の労働組合を脱退してもけっして解雇されることはない。

自信を持って、名ばかり労働組合、御用組合と対決していただきたい。

私たちはそのために力を惜しまない覚悟である。

 

.6.解雇されないでユニオン・ショップ労働組合から脱退する方法

(1)まずジャパンユニオンなり東部労組に加入して、その正式な組合員になり、一定期間、現在所属するユニオン・ショップ協定の労働組合と二重加盟の状態にする(これは、非組合員の空白期間を作ると使用者の攻撃を受ける可能性があるので、それを避けるための念を入れた措置である)。

(2)ユニオン・ショップ協定の労働組合と会社の双方に、ユニオン・ショップ協定の労働組合の脱退通知とジャパンユニオン(または東部労組)の加入通知を提出する。

行動としてはそれだけである。ユニオン・ショップ労組からの脱退についての法律的な決着はすでに終わっているので、よっぽどのこと(法律的無知を含む)がない限り解雇を強行する会社はないと断言できる。今までその経験はない。

しかしこれに付随した行動が必要になるかもしれない。それは、ユニオン・ショップ協定の労働組合と会社双方からの慰留工作が当然考えられるからである。
結構執拗な懐柔策を経験している。しかし当人がしっかりしていればどうということはない。

(3)いずれにせよ、それぞれ事情が違うので、ジャパンユニオンなり東部労組の本部と緻密な連絡と打ち合わせをよく行って意思疎通を十分図り、信頼関係を強めてことに当たることが一番肝心である。

 

.7.ユニオン・ショップ協定についての見解・注意点

..(1)西谷敏氏

・労働組合は、歴史的にも現在においても基本的には任意加入制を原理とする組織であり、労働者は加入・脱退の自由をもつと解さなければならない。

・(日本のユニオン・ショップ)制度は、労働組合の安定とともに、団結への強制よりもむしろ「団結における強制の制度」、つまり組合員を統制する手段としての色彩を強めることになったが、使用者側も、全従業員が一つの労働組合に組織されていることは労務管理上有用であると考えるようになり、当初の抵抗の姿勢を放棄した。

しかし、ユニオン・ショップ協定は、労働組合の保守化のなかで、使用者との対抗関係のなかで労働組合を強化するよりも、むしろ労使が一体となって、統制に従わない活動的労働者を企業外に放逐する役割を果たしている、との厳しい見方が広がっている。

・ユニオン・ショップは、クローズド・ショップと並んで、労働者に対し雇用喪失と組織加入・残留の二者択一を迫るものであり、最も強力な組織強制の手段である。そのため、主要な資本主義国では、これらの制度を明確に禁止(ドイツ、フランス、イタリア)するか、きわめて厳しく制限する(アメリカ、イギリス)のが今日の支配的傾向である。

・ユニオン・ショップ協定の締結は, 形式的に見れば使用者の組合への関与を意味し, また実質的にも他組合の組合員の団結権を侵害するなどにより不当労働行為に該当すると判断される可能性があるが, 協定が事業場の過半数を組織する労働組合との問で締結されたものであるときは一応不当労働行為に該当しないものとして扱う趣旨と解すべきだということである。

・労働者は団結することによってのみ真の自由を獲得しうるとの命題が正しいとしても, その真の自由の獲得もあくまで労働者個々人の主体的決断を通じてなされるべきである。強制は, 個々の労働者のためにも労働組合のためにも利益をもたらすものではない。その意味で,憲法13条の自己決定の理念および21条の結社の自由をふまえた憲法28条は, 団結する権利のみならず, 団結しない自由(消極的団結自由)をも保障していると解さなければならない。

・ユニオン・ショップ制度運用の実態を見ると, 労働組合が(多くの場合使用者と一体となって)活動的組合員を企業外に排除するために用いられている場合が圧倒的に多い。こうした実態のもとでは, ユニオン・ショッフ"制度が労働組合の維持にとって不可欠の制度であるといえないのはもとより,「組織の拡大強化」のための制度であるという命題そのものが疑わしくなっている。

・ユニオン・ショップ協定は, 使用者に解雇を義務づけるかぎりにおいて, 憲法28条によって保障されると解される消極的団結自由を甚だしく侵害するものであり, 無効であると解するほかない。労働協約の効力という点からいえば, それは協約自治の限界を越えるということになる。

・労組法7条1号但書(ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない )と抵触するものではない。上述のとおり, 同規定は, 過半数労働者を組織した労働組合とのユニオン・ショップ協定は単に不当労働行為に該当しないものとして扱うという趣旨の規定と解すべきだからである。

 

..(2)弁護士 岩出 誠氏

なお、ユシ協定の成立によって未加入者が当然に組合員となるわけではなく(東京高判昭和25・12・13労民1巻6 号1030頁三菱化工機事件)、また、組合員の喪失により当然に従業員の身分を失うことはなく(広島地判昭和30・7・30労民6巻5号549頁電産ショップ事件)、使用者の解雇がなければ従業員の地位は保持されることに留意してください(東大「注釈労働組合法」下巻396頁)。

また、最近、組合の組織率の低下により(平成18年では、推定で18.2%にまで低下したと報道されている)、ユシ協定の要件たる「特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する」労働組合の要件が問われる事態が増加しています。確認しておきますが、ここでの「特定の事業場」とは、労組法17条の「一つの工場事業場」、労基法36条等の「当該事業場」と異なり、一つの事業場に限らず特定していれば複数の工場・事業場であっても差し支えないと解されています(学説判例の紹介につき東大・前掲上巻394頁、拙著「実務労働法講義」改訂増補版下巻689頁以下参照)。また、雇用される労働者の「雇用者の過半数」とは、労組法2条但書1号に該当する使用者の利益代表者のような組合に加入し得ない者を組合を組織する労働者の過半数の算定基礎に入れるのは矛盾があるなどの理由から、同代表者を除いた雇用労働者の過半数をいうとされています(同書395頁。菅野和夫「労働法」第 7版補正版460頁は「当該事業場」と文理を離れて解しているが疑問である)。したがって、管理職を増やして組合組織率を下げてユシ協定を無効化することは、利益代表者の判断が正当になされる限りはできないことになります(なお、菅野・前掲書460頁でも、事業場については疑問があるが、条文にはない、「同種の」労働者の過半数との要件を持ち込むことによって、同様の結論を導けるようになっており、これにより具体的な妥当性を図っているように見える)。

また、裁判例は、ユシ協定に「従業員は組合の組合員でなければならない」との表現があれば、組合員の脱退や除名の場合の解雇につき言及がない場合(これを「宣言ユニオン」ともいう)や(東京地判昭和31・5・9労民7巻3号462頁東邦亜鉛事件)、組合から除名された場合のみ定め脱退の場合の定めがない場合のいずれも(水戸地判昭和32・9・14労民8巻5号562頁等)、使用者は組合員資格の喪失者に対して解雇義務を負うとしています(東大・前掲書上巻396頁)。

4.ユシ協定要件の喪失の効果
また、ユシ協定を結んだ組合の組合員が、前述の通り、特定の事業場における労働者の過半数を割った場合は、一般に、その効力が失われるとされています。

5.組合の併存や脱退者・除名者が別の組合を結成したり別組合に加入した場合
また、二つの組合が併存する場合、締結したユシ協定は他の組合にはその効力は及びません(最一小判平成元.12.14 三井倉庫港運事件 民集43巻12号2051頁等)。そして、この理は、 脱退者・除名者が別の組合を結成したり別組合に加入した場合にも適用されます(最判平元.12.14 三井倉庫港運事件 民集43巻12号2051頁、最一小判平元.12.21 日本鋼管事件 労判553号6頁)。但し、学説は、除名・脱退後、CらがC組合結成や他の組合への加入の前に、B組合からユシ解雇要求があればこれに応じた解雇を有効としていますが(菅野・前掲482頁参照)、判例がわずかな時間の差異にどれほどの意義を認めているかには見解の分かれるところでしょう。

..(3)アモーレと労働法 大内伸哉氏

労働組合をめぐる法的議論を突き詰めていくと、ユニオン・ショップに行き当たります。ユニオン・ショップがある組合では、加入、脱退の自由が制限され、組合の決定の組合員に対する正統性が欠けることになります。そこから組合員保護のための不利益制限法理が必要となるのです(労働協約の規範的効力の制限など)。そもそもユニオン・ショップが有効かという点については、現在は無効説のほうが有力だと思います(消極的団結権,つまり団結しない権利を肯定する考え方などが根拠となります)。判例も脱退の自由を認めているので、将来的にはユニオン・ショップを無効と判断する可能性もあると思っています。
もちろん、ユニオン・ショップが無効とされると既存の労働組合に大きな打撃となるでしょう。ユニオン・ショップに頼らなくても組合員を獲得できるような体制を今から作っておく必要があるのではないでしょうか。

..(4)本多淳亮氏

・このユニオンショップ制は、労働者に組合加入を強制するという機能をもつ点で、組織強制の手段であることは疑いがない。とくに企業別組合の場合は、企業別従業員の一括加入を使用者に認知させ、それをテコにして、全従業員を組合に結集することにより組合組織の強化をはかる制度である、と認めることができる。

・しかるに、この制度が現実に果している役割を見ると、対使用者の関係における組織強化というよりはむしろ、組合が組合員への統制を強める手段として機能していると認めざるを得ない面がある。除名が解雇に結びつくため、個々の組合員にとっては、組合幹部に睨まれ統制違反として除名の対象にされないようにというプレッシャーがかかる。その結果、組合内部における組合員への統制機能が一段と強化されることになるわけである。

・また、この状況は、使用者側にとっても利益をもたらすことが認識されるようになった。ユニオンショップ制により全従業員が一つの労働組合に組織されていることは、労働組合対策や労務管理にとって有用であることが明らかになってきたからである。そこには、次のような事情が伏在していると言えるであろう。

・使用者側は当初、ユニオンショップ制に否定的な態度をとっていたが、今日では労働組合の62.1%においてこれが認められるようになっている(労働大臣官房政策調査部編・平成9年版日本の労働組合の現状Ⅱ19頁)。そして大企業を中心にこの制度が廣く定着するに至っている。これは、判例などの上にも明確に現れているとおり、ユニオンショップが使用者に対して組合組織の強化を図るというよりも、むしろ労使一体となって、組合の統制に従わない積極的活動家を企業外に排除し追放する役割を現実に果たすようになっていることと無関係ではない。近年はその実態と機能から見て、このような指摘がなされるようになっている点にとくに注目する必要があろう。

・ユニオンショップ制はもともと、使用者との労働力取引に関し、組織労働者に対する競争者としてあらわれる未組織労働者を排除する狙いをもって設けられた制度である。未組織労働者が労働力の安売りをして、組織労働者の賃金や生活を脅かし、ひいては組合の団結を切り崩す効果が生じるのを防ぐことを目的とするものと言えよう。つまり、対使用者の関係で、産業・職業・企業内の労働市場を独占してその交渉力を強めることを意図する制度なのである。

・このことは、ショップ制の目的が、対使用者との関係において組合の団結を強化する点にこそあり、組合間の組織化争いの道具として利用されるべきではないという課題を裏打ちするものと判断される。組織争いにこれを利用することは、ショップ制の本来の目的から逸脱していると言うべきであろう。先に述べたとおり、労働者の団結(労働組合)は、憲法上の団結権保障の理念に適合する自主的な団結である限り、すべて等しい法価値をもつというのが、労働基本権の保障を確立した憲法の根本原理である。ある団結が他の団結との組織上の競争のためにショップ制を利用することは、団結相互間の平等の原理に反するし、対使用者の関係で細結を強化するというショップ制の目的に背くと言わなければならない。

(文責 石川 源嗣)



朝日新聞(2010年3月1日)

 

 

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